第二回以降では、実際の建築物に近いインテリアのサンプルモデルでラジオシティを実践してみようと思う。ラジオシティはインテリアに特化したレンダラーというわけではなく、勿論エクステリアでも使用できる。しかし、レンダリング時間が長くなるケースが多い事もあり、今回はインテリアに絞った説明としたい。
図1、2はワイヤーフレームでのパースとプランで、大よそ奥行き23m、幅10m、天井高4mの空間を用意した。図1の左斜め下より右上の奥の壁面を大よそ並行に見るようにカメラをセットしており、図3がそのカメラからのビューとなるワイヤーフレーム表示である。また、光源は蛍光灯代わりの線光源を天井面に7個配置し、シャドウは拡張レイトレースを用いている。図4がメッシュサイズを1mに設定し実際にラジオシティで計算した結果で、図5はその時のメッシュ分割された状態を表示したものである。このイメージは簡単なレンダリング設定で短時間にレンダリングしたものだが、このイメージと同様に間接光が表現されたイメージをレイトレでレンダリングするには、第一回で述べたように結構な労力が強いられる。レイトレ経験者は、図4を見ただけでもラジオシティの威力を実感されるのではないだろうか。





図4でもそこそこのクオリティは確保できているとは思うが、図5を見れば分かるように1mメッシュだとかなり粗い分割になるため、影の出方にリアリティ感が欠けてしまう。そこでメッシュ分割を10cmに設定変更してレンダリングしてみたものが図6である(メッシュの様子は図7)。メッシュの分割数を上げただけで空間が明るくなっている事がお分かりになるだろうか。ラジオシティ計算の場合はメッシュの分割数が陰影のクオリティを大きく左右するため、細かく分割する事でよりリアルなイメージが計算できるようになる。しかしクオリティアップと引き換えにレンダリング時間が長くなってしまうので、計算時間との兼ね合いも考えたメッシュ分割設定をしなければいけない(この例ではレンダリング時間が約6倍に伸びてしまっている)。
更に図6を良く見ると、コンクリートの壁面などにノイズのような陰影が全体的に出てしまっている。これはVIZのメッシュ分割の方法等の問題から出てきている影のノイズで、筆者の知る幾つかのラジオシティレンダラーのソフトでは現れない現象である。ラジオシティ法でのクオリティアップに関する本末転倒なこの現象には閉口するが、この問題を解消するためVIZには幾つかの手法が用意されている。それぞれの手法については、レンダリング結果と共に次回説明しようと思う。

