第二回で問題となった陰影のノイズを解消するためには、細かいノウハウの話まで含めると幾つかの手法は存在するが、ここではVIZの持つパラメータを使用してノイズの解消を図りたいと思う。VIZのパラメータには、簡易な手法から計算コストのかかる手法へ、「フィルタリング」「リファイン」「間接光の再収集(リギャザー)」と三つ存在する。

【1】フィルタリング
図1が第2回の図6にフィルタリングを施したものである。コンクリートのテクスチャの持つ模様もあって分かりづらいかもしれないが、よく見比べるとノイズが緩和されているのが分かる。しかし、陰影も若干ボケて空間としてのメリハリもボケてしまっている。フィルタリングは、使用しない場合と比べても計算時間が殆ど変わらずノイズを減らしてくれるので重宝するが、設定値を大きくしていくと陰影の差異が減っていき空間にメリハリがなくなってくるという性質を持っているので、使用には注意したい。

図1

【2】 リファイン
図2がフィルタリングの変わりにリファインを掛けたものである。図1に比べて若干明るくなって影の出方が変わっている。リファインは各メッシュに出ているラジオシティ計算の不具合を解消するため、メッシュにあたっている光を再計算させて陰影の精度を上げている。その結果フィルタリングに比べてよりリアルな計算が出来る。欠点はメッシュ要素に対して光の計算を再度行うため計算時間が長くなる事である。この例では図1に比べて4倍強も計算時間がかかってしまった。

図2

【3】 リギャザー
図3がリファインの変わりにリギャザーを掛けたものである。図1、図2で出ている壁面と天井面、壁面と床面の交わる部分に出ている不自然な影の帯が消えている。この不自然な影は主にモデル形状に起因するものであり、実はラジオシティをレンダラーとして使用するにはラジオシティに適したモデリング手法が存在するのである。この様にリギャザーはモデルに起因する不具合をも含め、ピクセル単位で光の再計算を行うため、最高品質のイメージが計算できる。ただしその計算コストは膨大で、この例ではフィルタリングに比べ20倍もの計算時間がかかっており、実際の業務ではなかなか選択し難いレンダリング方法と言えよう。

これら上記のパラメータは、其々メリットとデメリットを持っており、今回の例の様に其々の計算結果の差異が小さい場合もあるので、業務に使用する場合は業務の性質を良く検討しコストパフォーマンスの高い方法を選択するよう心がけたい。

図3