これまでは室内照明のみを使用しての建物の内観をレンダリングしてきたが、今回は太陽光を想定した昼景での内観表現を行ってみる。VIZで昼光を表現する場合には「デイライトシステム」と「テクスチャー空」(一般的にはイメージベースドライティングと呼ばれるもの)の二種類があるが、今回はデイライトシステムを使用している。デイライトシステムは太陽の直達光(IES太陽)と天空光(IES空)の二つの光源から構成されていて、各々を使用するしないを含めて独自に設定が可能である。ここではIES太陽、IES空の双方を使用してレンダリングを行った。ちなみにモデルは前回使用した天井、床スラブを変更したものを使用している。
図1がそのレンダリング結果である。夜景の内観で設定した種々のパラメータと比較して今回の設定を説明すると、光源に関しては室内の照明は全てOFFにし、デイライトシステムだけで計算している(想定建築物の緯度、経度、時間を設定することで自動設定されるパラメータを使用)ということになる。建物の質感は前回までと同様で、ラジオシティに関する設定はなるべく素の状態をお見せしたかったので、メッシュ分割は10cmで軽くフィルタだけをかけ、リファイン、リギャザーはかけていない。光源としてデイライトシステム(自動設定値)を使用するだけでこれ位の絵は出来てしまう。

前回までに述べた壁面等に出ている縞模様を回避するためにリファインをかけたものが図2である。前回までの設定との大きな違いは、露出制御を「対数型コントロール」から「自動露出コントロール」に変更しているところである。変更理由は基本的な質感パラメータが同じで、デイライトシステムを上に書いた自動設定のパラメータを使用した場合には、どのコントールを選択するかでレンダリング結果が著しく変わってしまうからである(実験されればすぐに分かると思う)。勿論デイライトシステムのパラメータをマニュアルで設定し、露出制御の各パラメータを変更すれば、それほど大げさな問題ではない。しかし本稿ではGI(ラジオシティ)とは何かということで、初心者又はGIの経験の少ない方を対象に書いている事情もあり、出来るだけソフトウェアのデフォルトに近い設定を利用することでGIを使ったレンダリングの門戸を広げたいという趣旨からこの様な文章を書いている。今回出てきている種々のパラメータの詳細を説明すると長くなるので割愛するが、実際にこれらのパラメータを駆使して自分の思い描くレンダリング結果を得るにはそれ相当のスキル(経験)が必要になるが、初めて経験する場合は、例えば露出制御の場合にはコントロールを色々試してみて自分のイメージに近いものを選択し、そのパラメータを少しずつ弄ってみるのが賢明かと思う。
