これまでGIを使用する上で様々な光源を取り上げてきたが、今回はオブジェクト自身を光源として取り扱う設定を説明する。質感設定の際に様々な設定のマテリアルをオブジェクトに割り当てると思うが、そのマテリアルにある「自己発光」パラメータを使用することで、割り当てられたオブジェクトを光源として使用する事ができるようになる。以前のVIZではオブジェクトに割り当てられたマテリアルの自己発光パラメータを変化させても、オブジェクト自身が光源に作用されず明るくなる事はあっても、光源として光を発することは無かった。しかし今回のVIZ4では自己発光を設定したマテリアルの親に「ラジオシティ付加マテリアル」を追加して、「輝度のスケール」パラメータを設定することで光源として扱えるようになる。「ラジオシティ付加マテリアル」についてはこれまで説明をしてこなかったが、このマテリアルを付加することで光の反射率、透過率、カラーブリーディング(色の映りこみ)を、ベースのマテリアルとは独立して設定できるようになる。詳細は割愛するが、カラーブリーディングなど便利なパラメータを持っているので読者の方々も試されることをお勧めする。
話を元に戻して、図1のサンプルレンダリングを見て頂きたい。ここでは前章までで説明してきた光源は一切使用せず、あるオブジェクトを発光させる事で光源として設定している。絵をごらん頂ければ何が発光しているかお分かりかと思うが、ここでは外部に面したガラスを自己発光マテリアルとラジオシティ付加マテリアルとで光源として扱っている。光源として設定したガラスオブジェクトは面光源として扱われるため、全方向に光が拡散し天井面が他の光源を使用した時よりも明るくなっている。若干の違和感は拭えないレンダリング結果ではあるが、一般的な光源を一切配置しなくても、オブジェクトを発光させることで簡単に昼光での内観を表現することが出来る。図2は室内照明として壁に配置しているオブジェクトを発光させた夜景の内観での例である。もともと光源として扱う照明オブジェクトを発光させているため、昼景と比較しても違和感の少ないイメージが出来上がっている。


この様に簡単なパラメータ設定によりオブジェクトを光源として扱うことで、昼景、夜景ともに簡単にレンダリングが可能になる。昼景は使い方に注意を要する部分もあるが、夜景は問題なく使用可能である。また別の使用例として内観ばかりでなく外観の夜景で窓ガラスを発光させ夜の街を表現する時にも威力を発揮する。「オブジェクトの発光」は種々のメリットを持つレンダリング手法なので読者の皆さんも大いに活用して頂きたい。