今回はこれまでGIを使用してレンダリングを行ってきたものに+αとして光の演出を行ってみたいと思う。直接にはGIに関係しない項目であるが、GIのクオリティの高いレンダリング結果に色を添えることで、より表現の幅を広げるという意味でも有効な手段であり、CG全般にも活用できるものなので参考にして頂ければ幸いである。

図1は前回まで使用してきたモデルの天井の照明オブジェクトと壁際の照明オブジェクト(参考:第九回 図2)を自己発光させたものである。光源としてはこの二つだけで、図2はこれに+αとして、自己発光させた照明オブジェクトにグロウエフェクトをかけたものである。ちょっとした光の演出ではあるが、この少しの差がリアリティのある表現を可能にし、GIを使用したレンダリング表現に幅を持たせることが出来るのである。この設定は「レンダリング効果」の設定で「レンズエフェクト」を有効にし、更にレンズエフェクトの種類で「glow」を選択し、オブジェクトに割り当てることで設定できる。

他の事例として第九回に掲載したレンダリング結果に対してglowをかけてみたいと思う。図3は第九回の図2にglowをかけたもので、glowを強調するために前回の設定よりも光源を暗めに変更したものである。図4も同じく第九回の図1にglowをかけたものであるが、これまでの例と違い太陽光の光線を表現するためにglow用の光源を新たに追加している。前回の図1、2と比較して今回の図3、4は如何だろうか。図3は効果をわかり易くするために少し極端な設定にしているので、表現の良し悪しは一概には言えないが、図4の太陽光線の筋を追加した方は雰囲気が出たのではと思う。レンズエフェクトやglowの持つパラメータの設定に関する説明はここでは割愛するが、この様にちょっとしたスパイスをGIレンダリングに加えることで表現の幅を広げることが可能なので、CG制作のコンセプトによっては読者の方々も積極的に活用してもらいたいと思う。

図1
図2

これまで10回にわたってGIを使用したレンダリングを説明してきた。GIは難しい、難しそうだという固定観念を払拭するため、なるだけ簡単な設定をするためデフォルトの値を多く用いてレンダリングをし、それでもレイトレとは一味違うレンダリングが出来る事を紹介してきたつもりである。この連載を読まれたことをきっかけにGIレンダリングを始められ、GIの持つポテンシャルを実感していただければ幸いである。

図3
図4

最後にこの連載を最後まで読んでいただいた読者の皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。